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デオドラントの輝き

メモ帳代わりに雑記録

同じ屋根の下の甘々三角関係『ショートケーキケーキ』

 少女漫画が読みたいなあ、とふと思いまして。しかし、テンプレ俺様系は避けたい、ちょっと捻ったのが読みたいけどあんまサブカルサブカルしてるのもな……と、なんかないかなと試し読みの海をふらふらと漂っていた私がなんとなく手に取った漫画、『ショートケーキケーキ』の話を読書記録のメモ代わりにしていきたいと思います。

 本作は雑誌『マーガレット』で2017年1月現在既刊4巻で連載中であります。作者の森下suu先生、『日々蝶々』(それこそ試し読みでぱら見して絵柄が綺麗だったことくらいしか憶えてない)等の作品でお名前は拝見しておりましたがちゃんと作品を読ませていただくのは今回が初めてです。どうやら合作ユニットとしてのペンネームのようですね。原作担当と作画担当の方がひとりずついらっしゃるとか。

下宿もの

 本作はズバリ下宿ものであります。地方の田舎で、自宅から通える学校もあまりない、あっても遠い、そうした学生が集まる下宿所(星野下宿所)が舞台となっております。当然、というか他校の学生や学年、男女も混成となり、教室や学校以外での生活圏の一致をミソに人間模様が描かれていく……というのが一般的な少女漫画の枠(って実際どんなもんか雰囲気でしか認識してないけれど)としては変化球かな、と思いました。

 星野下宿所では、近隣の二つの高校に通う生徒が集まっているようです。

猫高

 猫千谷高校。1年生で主人公の芹沢天とその中学時代からの友人で同じく1年生の春野あげは、また同じ下宿所で暮らす、1年生笠寺千秋と2年生山口有人の通う高校。

商業

 猫千谷高校と同じく猫千谷町内にある(と思われる)商業高校。星野下宿所では、1年生水原理久、3年生大野葵が在籍。

 

 なんかこうして見ると主要キャラとそれ以外との名前の凝り具合っていうかバランス感覚が秀逸だなあ……。

三角関係

 はい。三角関係ですね。本作は三角関係ものでもあるんです。どうかすると四角関係にもなります。主人公を色んな男が取り合う例のアレです。と言ってしまうと陳腐なように思われてしまうかもしれませんが、読んでいる最中の感覚としてはそのような浮ついたテンションとは無縁の密度を感じました。主人公である天が、近づいてくるそれぞれのキャラクターとの関係性やその気持ち、その気持ちからくるアプローチ、また対する自分自身の気持ちに真剣に悩み、考え、行動していく過程がしっかりと描かれているからだと思います。

二人のイケメン

 はい。イケメンです。少女漫画のヒーロー役って言ったらやっぱイケメンっすよね~~というのはさておき。

水原理久

 商業1年。一言でいうとチャラいです。女の人には笑ってほしいし、いい気分にさせてあげたいをモットーに、女性相手ならクラスの女子は陰キャもフォロー、下宿では管理人の手料理のベタ褒めを欠かさず、果ては通りすがりのお婆さんにも気さくに話しかける、まさに誰にでも優しい爽やかイケメン。しかも嫌味がない。最強か。

笠寺千秋

 主人公の第一印象が何この美形である筋金入りのイケメン。猫高1年で学校でも天と顔を合わせることしばしば。読書が趣味で特技は名言の引用(暗唱?)。微妙に不思議キャラ、というか天然無神経で恋敵である理久に対しても親友レベルの友情を隠さない(理久には微妙に引かれてる)。とにかく美しい。

謎の和装少年

 イケメンではないです。どちらかというとちょっとヒネった可愛い系。というか、病弱っぽいクマ入りタレ目白髪で方言丸出しの和装で地主キャラってどんだけ趣味要素ブッコミのキャラ造形だよっていう。ちなみに素行からして全然病弱ではなさそうです。今後の展開次第ではわかりませんが。名前は水原鈴。理久とは兄弟関係らしいのですが、全然似てないので腹違いか種違いかもしれません。どっちがお兄さんなんだろう……(なんとなく理久っぽいけれど)。

家庭問題

 家庭問題はそれぞれが何かしら抱えているようですね。主に兄弟関係が顕在化していますが、天の母親への遠慮にも近い感謝の念は引っかかるというほどではないまでも今後の展開に繋げてきそうではあります。

兄弟関係

 まずは水原兄弟の関係性ですね。そもそも鈴が理久に対する嫌がらせ以外ではほぼ登場しないことから考えても作品的に最も大きなわだかまりだろうと思われます。ここは地元とも関係の深そうな実家問題を繋げてきそうですね。ドロドロになりそうな匂いしかしない……。

 笠寺兄弟については、一方的に千秋の方が嫌っているだけのように見えますね。笠寺兄も美形で、心配して電話を掛けてきたり、下宿に挨拶に来たりと弟想いな描写が多いです。過去に何かあったのでしょうか。

 天もお兄さんがいますが、こちらは似たもの同士の仲良し兄妹のようです。

タイトルの意味

 甘い甘いという意味らしいです。

設定

地域性

 舞台となっている猫千谷町は宮崎県高千穂町がモデルとなっているようです。作者の森下suu先生が宮崎県に所縁のある方らしく、御自身の経験が反映されているのかもしれません。有名な高千穂峡でのボートを漕ぐシーンも出てきます。

蘭さん

 天たちの暮らす星野下宿所の管理人、星野蘭。見た感じ如何にもですが元ヤンなようです。下宿所の土地は水原の家の所有であるようで、理久の事情にも通じているようです。また、鈴の運転手(?)である白岡さんとも顔見知り以上の関係があるようです。

白岡さん

 蘭さんとは知り合いであるっぽい、鈴の運転手、というか世話役? お坊ちゃんの子守をするだけのイエスマンではなく、宥めているのか煽っているのか、理久への対抗心から天に嫌がらせをする鈴を明らかに面白がっていたりもする、ちょっとクセもありそうな人物。

山口くん

 天が星野下宿所に来て最初に会った男性キャラであるにも関わらず今や完全にギャグ要員に……。前作で眼鏡クセっ毛キャラは書き飽きちゃったのかなあ……。

主人公の過去

 片想いの相手、落ち着く人、孝司くんとは……?

雑感

  気づいたら主人公の人となりの話とか全然してませんけど、これもちょっと個性的で、記号的には低身長猫顔腰までの黒髪をツインテールにした小動物キャラって感じです。母親想い。天真爛漫なんだけど、迷いもあり、あれ? これはどういうことなんだろう? と思わせて主人公の心の変化を追わせるリーディングがちょっといいですね。

 大筋の展開にやや強引で御都合主義的なものを感じますが、細部の描写は丁寧かつ大胆で、要所での大ゴマの使い方に一気に引き込まれます。前作の『日々蝶々』も完結12巻でそれなりの長さなので、今度読み込んでみようかなと思います。

 

 (私の)口調が一定しねえ……。

ハリウッド製作で洗練さに特化された『バニラ・スカイ』

 まず第一印象としてはなんだこの完璧な布陣は。主演もヒロインも脇を固める俳優陣も美麗すぎる&ハマりすぎる。そして音楽。サウンドトラックはにわか仕込みの洋楽ロックファンの私でもウワワと総毛立つ錚々たるラインナップです。

 本作は1997年のスペイン映画『オープン・ユア・アイズ(原題:ABRE LOS OJOS)』のリメイクであり、監督はキャメロン・クロウ。公開は2001年です。

俳優陣の魅力

トム・クルーズの存在感

 まずは何と言っても主演のトム・クルーズですね。言わずと知れたトム様が「目を覚まして(Open your eyes.)」という目覚まし時計の録音とともに目を覚まします。そして、半裸でベッドを出たトム様が洗面所の鏡に向かうんですよ。わかります? そうです。麗しいマスクが画面に大きく映し出されます。この感動を伝えたかった。これでこのブログを作った衝動が九割昇華されました。ありがとうございます。

 このトム様が全編通して財産も地位も外見も文化的にも優れた、いわゆる女にモテまくる男を演じてくれるわけですが、その立ち振る舞いが素晴らしい。軽妙洒脱なペネロペとの掛け合いのシーン、度々挿話されるカート・ラッセルとの問答等々それだけで映画そのものを食ってしまいかねないトム・クルーズの演技、存在感。はー、ほんと素晴らしい。

ペネロペ・クルスの美しさ

 そして、ペネロペ・クルスですね。この美しさ。これが完成されすぎてる。見目麗しい顔立ちもさることながら、そのスリムな身体つき。これがシャツを合わせたあっさりとしたパンツスタイルにフィットしてるんですね。演じているキャラクター的にも、男に依存しない、しかし距離も感じさせない、敢えて言えば男性的に理想的すぎるかもしれない? そんな女性像を体現しています。特出しているのは、その感情の表現。まるで屈託というものがないペネロペの演技に魅了されます。個人的にはスペイン訛りの口調が今作ではキャラクターの奥行き的にとても良く作用していてツボ。

 ペネロペはリメイク元である『オープン・ユア・アイズ』でも同役で出演しています。

キャメロン・ディアスの不気味さ

 続いて、キャメロン・ディアス。彼女もハリウッド一線級の女優ですが、今回はやや脇寄りで、しかしド級の不気味さを発揮して実力を示しています。シナリオ上の転換点で姿を現す役柄として鮮烈な印象を残します。

 そのプロポーションもさることながら、ヒロインであるペネロペがどこか少年的であることと対照的に女性性を前面に押し出すのが彼女の役柄だと思います。トムの名声を支えるひとつのパーツでありながら、やがて彼の人生そのものを呑み込んでしまう劇物としての。そういう怖さ、不気味さを見事に演じ切っています。いやホントに見事。快楽と幸福の頂点から地獄に叩き込むベッドシーン、その表情の演技。見事の一言に尽きる。

ノア・テイラーの超越性

 ここで、ちょっと変わった役柄を演じるノア・テイラー。どこか狂言回し的な、世界の外側に位置するような超越性を表します。彼のような人間が存在すること自体が、世界の不変さ、確かさに揺らぎを与え、「いったい何がどうなっているのか?」と疑問を与える契機となり、また答えにもなっている、そういうポジションです。雰囲気あります。ぶっちゃけ好きです。微笑みの演技がとても良い。愛。

シナリオについて

 ぶっちゃけまして、シナリオそのものについて言いたいことはそれほどないんです。本作品はあくまでリメイクであり、元々のオリジナルのあるもので、またそちらとの差異を特に取り上げるには、私の記憶がどうにも曖昧に過ぎます。『オープン・ユア・アイズ』を再鑑賞した際に改めて考えてみようと思います。

悪夢

 犬神家の一族を彷彿とさせる顔一面を覆い隠すマスク。窮屈な留置場。事件に関する取り調べ。転落した人生。それまでに至る経緯に隠された謎。全編を支配するこの悪夢的な雰囲気がこの作品の特色ですね。しかし、だからと言って暗いわけでもなく、むしろポップで軽妙なセリフ回しや音楽の合間に差し挟まれる、時系列に逆行するようなシーンの使い方が世界観に入れ子構造を与え、物語に引き込む効果を持たせていますその意味では悪夢というより、幸福な夢から目を覚まさせるような現実のようなものかも? いやはや。

どんでん返し

 中盤から徐々に徐々に膨れ上がっていく違和感が終盤で世界観そのものの破綻とともに一気に収束します。ここら辺はそれ系の他作品と違いありませんが、敢えて言うならこの作品における夢から現実への移行の始まりは劇的で、かつ途中は穏やかで、最終的に登場人物に親切な印象を受けました。カート・ラッセルだけはなんか可哀想。なんかね。

伏線

 ここで私が強調したいのはズバリ空の色ですね。タイトルにもなっているVanilla Skyとはいったい何なのか? ということを考えてみると面白いと思います。世界そのものの構成要素が誰かの思い出に収束していくとき、夢というものが論証されるのかもしれません。エピソードを構成するひとつひとつのピースがの部屋に収まるものであるというのも示唆的です。

音楽について

サウンドトラック

 サウンドトラックについてはメモついでにWikipediaから引用しておきます。

 サウンドトラック[編集]

ポール・マッカートニーによるタイトルチューンや、キャメロン・ディアスが参加した楽曲を収録したサウンドトラック盤は、ワーナーミュージック・ジャパンよりリリースされている(日本盤:2001年12月19日発売/WPCR-11143)。

収録曲
  1. オール・ザ・ライト・フレンズ All The Right Friends/R.E.M.
  2. エヴリシング・イン・イッツ・ライト・プレイス Everything In Its Right Place/レディオヘッド
  3. バニラ・スカイ Vanilla Sky/ポール・マッカートニー
  4. ソルスベリー・ヒル Solsbury Hill/ピーター・ガブリエル
  5. アイ・フォール・アパート I Fall Apart/Julianna Gianni(キャメロン・ディアス
  6. ポーパス・ソング Porpose Song/モンキーズ (1968年の映画「ザ・モンキーズ 恋の合言葉HEAD!」より)
  7. モンド77 Mondo 77/ルーパー Looper feat.フランシス・マクドナルド
  8. ハブ・ユー・フォーゴットン Have you Forgotten/レッド・ハウス・ペインターズ
  9. ディレクションズ Directions/ジョッシュ・ロウズ
  10. アフリカ・ショックス Afrika Shox/レフトフィールド/アフリカ・バンバータ Leftfield Afrika Bambaataa
  11. スヴェン・ギー・エングラー Sven-G-Englar/シガー・ロス
  12. ラスト・グッドバイ Last Goodbye/ジェフ・バックリー
  13. 友達でいさせて Can We Still Be Friendsトッド・ラングレン (1978年『ミンク・ホロウの世捨て人』より)
  14. フォース・タイム・アラウンド Fourth Time Around/ボブ・ディラン (1998年『ロイヤル・アルバート・ホール:ブートレッグ・シリーズ第4集』より)
  15. エレベーター・ビート Elevator Beat/ナンシー・ウィルソン
  16. スウィートネス・フォローズ Sweetness Follows/R.E.M.
  17. ホウェア・ドゥ・アイ・ビギン Where Do I Begin/ケミカル・ブラザーズ

 

バニラ・スカイ - Wikipedia

ポール・マッカートニー

 レノン=マッカートニーとしてザ・ビートルズの約8割の楽曲にクレジットしているポール・マッカートニー。本作のタイトルと同名の主題歌を担当しています。本編でネタにされたりもしていてちょっとニヤニヤしてしまう。「僕(が好きなのは)は最初からジョージだ」。

キャメロン・クロウ

 本作が音楽的にも強い主張を持つ作品になった理由として大きいのがやはり彼、監督のキャメロン・クロウの存在でしょう。キャメロンは元々米国の大衆紙『ローリング・ストーン』の記者をしていて音楽関係の文化に造詣の深い人物です。他作品にも音楽表現に注力したものが見られるようなので今後も過去作品を観ていきたいと思います。

雑感

 実を言うと観始めて最初はずっとイライラしていました。完璧なキャスト。優れたBGM。終始オシャレな雰囲気。なんだこれは、ハリウッド資本にパッケージされた、この、ちくしょう資本主義の犬が。くらい見当違いな義憤に駆られてましたが冒頭のトム様の美しさと全編通したトム様の美しさ、そしてペネロペ・クルスの可愛らしい美しさとキャメロン・ディアスのエロスでサイコな美しさ、世界観を引き締めるノア・テイラーの透明感のある美しさetc.に完全に脳をやられてましたね。はぁ~~おもしれ~~。

 個人的に一番好きなシーンがクライマックスの回想でODしたトム・クルーズがよろよろと床に倒れ込む、あそこ、本当泣くかと思いました。うおォ。

 正直シナリオについては『オープン・ユア・アイズ』と対照で観て比べてみないとどうにも感想が出てこないので早いうちにやっておきたいと思います。